日本ウェルネススポーツ大学東京祖国リオ五輪へ照準

09/10/06(火)朝日新聞夕刊

 日本育ちの24歳 杉町マハウ

 開催が決まったばかりの16年リオデジャネイロ五輪に向けて、遠く日本から意欲を燃やす若者がいる。陸上400メートル障害の杉町マハウ(日本ウェルネス専門学校職)。ブラジル生まれ、日本育ちの24歳だ。祖国ブラジルでの開催が決まった日本時間の3日、新潟で開かれている国体の青年男子で初優勝を飾った。「(開催地に)選ばれるのはブラジルでも日本でもうれしかった」。夢の舞台に向け、最高の一歩を踏み出した。(増田創至)

 400メートル障害 国体初V

 杉町は母がブラジル人で、父の両親がブラジル人と日本人だ。小3の時、家族で日本に移り住んだ。群馬・常磐高までは主に走り高跳びに取り組んできた。社会人になり400メートル障害に転向し才能が開花、夢だった五輪出場が現実味を帯びてきた。国籍を変更すると世界大会に3年間出場できなくなる規定があり、ブラジル代表になる道を選んだ。08年北京五輪(準決勝敗退)、今夏のベルリン世界選手権(予選敗退)に出場を果たした。
 だが、日本国内レースで一度も勝てない相手がいた。成迫健児(ミズノ)だ。優勝した国体のレースでも、成迫が立ちふさがった。最後の10台目のハードルで追いついた杉町は、残り5メートルを必死にもがく。48秒67。従来の記録を0秒48も短縮する大幅な自己新で競り勝った。「同い年なので、ずっと目標にしていた。うれしい」。6連覇を阻まれた成迫は「悔しい。こんな気持ちは久しぶり」。杉町の快走は、伸び悩んでいた日本のエースにも火をつけた。
 競い合っていけば、記録が伸びていくのは間違いない。
「32歳になる年なのでギリギリですが、リオ五輪に出場したいです」。杉町の宣言は力強かった。